よろしゅうおあがりやす

よろしゅうおあがりやす
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京都弁でこんな言葉(あいさつ)がある
私がこの言葉を知ったのは 旅館で働いていたときである
「よろしゅう」は「よろしく」の意味だと分かるのだが 後半の「おあがりやす」ってのがどうもしっくりこない
なぜならばこの言葉は お客様が食べ終わったときに言うからだ
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普通に分析すると「召し上がれ」でも分かるように「食べて」という意味合いで「上がる」を使う
「やす」というのも「お越しやす」「早うしとくれやす」のように 文末につける関西弁だと思って間違いない
つまり「おあがりやす」は「召し上がれ」そのもので 食べる前に言うはずである
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ところがどっこい!(w
「よろしゅうおあがりやす」と言うのは お客様が食べ終わった時にかける言葉(あいさつ)なのだ
一般的に「お粗末さま(でした)」と言われる場面である
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それがなぜか仲居さんに聞いたことがある
「いや うちが作ったなら『お粗末さま』でもいいけど 作った厨房に悪いやろ?」そしてもう一つ こうも言わはった
「なによりお金いただいてるお客様やのに 粗末なものを出してるなんて言うほうが失礼やろ?」
なるほど 通常の飲食店であれば
ごちそうさん」→「ありがとうございました」 でお金もらえる(帰っていただける)が
旅館の場合「ありがとうございました」と言うのは お客様がお帰りになるときだけである
逆に言えば「早く帰れ」に聞こえてしまうから「ありがとうございました」とは言えない
そこで「ありがとうございました」に代わるあいさつを言うために「よろしゅうおあがりやす」を言うのだ
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なぜそれが 食べた後のあいさつとしてその言葉が使われるようになったのかは分からない
が 自分が作ったものではない それから(お金をいただいてる以上)『粗末なもの』ではないから 「よろしゅうおあがりやす」 と言うのだそうな
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京都以外の地方ではなんて言うてるんやろね?